寄与分について

2016.03.28

各相続人の取得額の調整として、特別受益と同じ段階で検討されるものとして寄与分があります。
共同相続人中に、身分関係や親族関係から通常期待される以上に被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるとき、その寄与者の相続分に寄与分額を加算するものです。この特別の寄与を評価して算出した割合や金額のことを、寄与分といいます。
寄与分には、(1)家業である農業や商工業等被相続人の事業に従事した場合(家事従事型)、(2)被相続人に対し、財産上の利益を給付した場合(金銭等出資型)、(3)相続人が、病気療養中の被相続人の療養介護に従事した場合(療養看護型)の3つの類型があり、寄与分の主張が認められるには、それぞれの要件を主張・立証する必要があります。

(1)から(3)に共通する要件としては、

  • ア 特別な貢献
  • イ 無償性
  • ウ 財産の維持又は増加との因果関係

が必要で、さらに、(1)及び(3)については、

  • エ 継続性
  • オ 専従性

の各要件が必要となります。さらに、(3)については、

  • カ 療養看護の必要性

も必要です。

アについては、上記のとおり被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を越える特別の寄与であるといえる必要があります。この点、(2)については、被相続人名義の家の改修費やローンの返済等、高額の出資がこれに当たります。これに対し、小遣い程度の小額の場合は認められません。また、(3)についても、単に同居しているとか、家事を分担していたという程度では特別の寄与と認められません。
イについては、完全に無償でなくても、これに近い状態であれば認められます。ただし、(1)及び(3)については、ほとんど報酬を受け取っていなくても、被相続人の資産や収入で生活していれば、寄与分が認められない可能性があります。また、(2)については、被相続人に対し貸付けというかたちで金銭を出していた場合には認められません。この場合は、寄与分としてではなく、遺産の段階で主張しておくべきでしょう。
ウについては、寄与行為の結果として、被相続人の財産を維持又は増加させていることが必要です。特に(3)については、療養看護により本来支払うべき看護費用の出費を免れたという結果が必要になります。
エについては、(1)については労務の提供が、(3)については療養看護が、相当期間に及んでいることが必要です。期間について明確な定めがあるわけではなく、一切の事情を考慮して判断されますが、少なくとも、(1)については3年以上、(3)については1年以上が必要とされているようです。
オについては、(1)、(3)のいずれについても、片手間ではなく、かなりの負担を要するものであることが必要です。他の仕事をしながら、その合間に労務の提供や療養看護を行っており、専念していたとはいえないような場合は特別な寄与とは認められないでしょう。
カについては、「療養看護を必要とする病状であったこと」及び「近親者による療養看護を必要としていたこと」が必要です。単に高齢であるというだけでは必要性が認められず、病気等により療養看護が必要であったといえなければなりません。
以上のとおり、被相続人に対して行った貢献がすべて寄与分として認められるわけではなく、上記の要件によりかなり絞られることになります。

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