寄与分

貢献に応じた相続

例えば、長女が嫁いだ後、長男が、長年、父親の経営する八百屋の経営を助けて、その地域ナンバーワンのスーパーに発展させて父親の財産が増えたという場合、長女は、その後に亡くなった父親の遺産の増加に貢献していないのに対し、長男は貢献していると言えます。このような場合、長男が長女と同じ相続分では、不公平となる場合があります。
そこで、民法は、寄与分として、長男の貢献度を相続に反映することを認めています。

寄与分の要件

寄与分が認められるには

寄与分制度とは、共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護、その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者(特別寄与者)がいるときは、被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額から寄与分を控除したものを相続財産とみなし、各相続人の相続分を算定した後に、特別寄与者については、当該相続分に寄与分を加えた額を相続分とする制度です(民法904条の2)。
特別寄与者として寄与分が認められるには、次の要件を満たす必要があります。

  1. 相続人であること
  2. 被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をしていること

なお、寄与分は、遺産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることはできません。

相続人の要件が問題となるケース

要件(1)が問題となるケースとして、長男の妻が長男の両親の付添看護などの世話をしていたという場合があります。
長男の妻は相続人ではありませんが、長男の補助者または代行者として、その付添看護につき長男の寄与分が認められることもあります(神戸家裁豊岡支部審判平成4年12月28日家月46巻7号57頁)。

「特別の寄与」とは

よく問題になるのは、要件(2)の被相続人の財産の維持増加に「特別の寄与」をしていたかということです。
寄与分は「特別の寄与」がある場合に認められますので、食事を作っていた、仕事が休みの日に家業を手伝っていたなど、夫婦間の協力扶助義務や親族の扶養義務の範囲内と評価される場合には、寄与分は認められません。

裁判で寄与分が認められた例

過去の裁判では、次のような場合に寄与分が認められています。

  • 被相続人の家業である薬局を手伝い、その後、被相続人に代わって経営の中心となり、会社組織にして店舗を新築するなど経営規模を拡大した被相続人の子につき、薬局のみが唯一の収入源であった被相続人の遺産の維持増加に特別の寄与をしたとして、約32パーセントの寄与分を認めた(福岡家裁久留米支部審判平成4年9月28日家月45巻12号74頁)
    →このケースは、寄与分を受けた相続人が、経営の中心となり、経営規模を拡大することによって、被相続人の遺産の維持増加に貢献したことが「特別の寄与」と評価されたといえます。
  • 妻は被相続人よりも低くはない収入を得ており、生活費、財産購入費等は、妻と被相続人との収入の内から支出されていた場合、婚姻中に得た被相続人名義の財産は、実質的には妻との共有に属すべきとして、50パーセントの寄与分を認めた(大阪家裁審判昭和51年11月25日家月29巻6号27頁)
  • 被相続人を引き取り、二年半にわたり日常の世話をし、入退院の付き添いなど療養看護に努めた長女につき、300万円の寄与分を認めた(広島高裁決定平成6年3月8日家月47巻2号151頁)
    →長女が、単に日常の世話をしたのみならず、療養看護に努めたことが「特別の寄与」と評価されたといえます。
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