遺言無効確認訴訟・解決の方針

遺言無効確認訴訟について

遺言の種類には、自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、いずれも法律により定められた様式に従って作成されたものでなければ無効となります。また、遺言者に遺言能力がない遺言も無効となります。このように、無効の疑いがある遺言について、判決により効力がないことを確定させるためには、遺言無効確認訴訟を提起する必要があります。

遺言の有効性

形式面

自筆証書遺言

  • 全文の自書

    遺言者自らの手で書くことが必要で、他人による代筆は認められません。他人の補助を受けて筆記する場合も、無効と判断されるケースもあります。また、ワープロ等の機械によって作成したものも、自書とは認められず、無効となります。

  • 日付

    遺言の作成日について、年月日を明らかにして、暦上の特定の日を表示するように記載する必要があります。日付も自書しなければならないものとされており、注意が必要です。

  • 氏名

    必ずしも戸籍上の氏名でなくてもよく、遺言者が誰であるかについて疑いのない程度の表示であれば足り、ペンネーム等の通称でもよいとされています。氏名も、自書しなければならないものとされており、注意が必要です。

  • 押印

    必ずしも実印による必要はなく、認め印や、指印でもよいとされています。

公正証書遺言

  • 証人2人以上の立会い

    作成手続の初めから終わりまで立ち会う必要があり、途中で退席したり、遅れて参加したりすると、方式に違背したものと判断されるのが原則です。

  • 口授

    遺言者が、遺言の内容を口頭で述べることです。
    遺言の内容を一言一句述べる必要はありませんが、公証人の問いかけに対しうなずく等するだけのようなケースでは、口授とはいえず無効と判断される可能性が高いといえます。

  • 公証人の筆記、読み聞かせ・閲覧

    公証人は、遺言者の口授を受け、これを筆記し、遺言者及び証人に読み聞かせるか、閲覧をさせます。

  • 遺言者及び証人の承認・署名押印

    「公証人の筆記、読み聞かせ・閲覧」によって、筆記が正確であることを承認したら、遺言者及び証人は、公正証書に署名押印をします。

遺言能力

遺言が有効となるためには、遺言者が、遺言の際に遺言能力(遺言の内容や法律効果を理解・判断できる能力)を備えている必要があります。遺言能力を欠いていた場合には、自筆証書遺言、公正証書遺言ともに、上記の形式面の要件を充足していたとしても、遺言は無効となります。
遺言者が認知症等に罹患していた場合のように、遺言能力に疑いがある場合には、病院のカルテや、関係者の証言等の情報を収集・分析し、遺言無効確認訴訟を提起するかどうかを判断することになります。

手続の流れ

遺言無効確認訴訟の手続きの流れ

有効性の検討

どのような遺言書があるか、遺言者の遺言作成時の状況はどうだったか等、遺言の有効性に関し調査を行い、有効性の検討をします。

内容証明郵便

交渉による解決の見込みがある場合には、訴訟の前に通知を出します。この通知と合わせて、遺言が有効であると判断された場合に備え、仮定的に遺留分減殺請求の意思表示もしておくのが通常です。

仮処分

遺産を処分されるおそれがある場合には、訴訟を提起する前に仮処分申請をします。

訴訟提起

事案によって、鑑定や、遺言者の担当医、公証人、関係者等の尋問といった証拠調べ手続が行われます。判決までは、早くても1年前後はかかるのが通常です。

訴訟終了後

遺言が無効と判断された場合には、遺言がなかったのと同様に、法定相続分に従って遺産分割の手続が行われます。遺産分割協議がまとまらない場合には、調停の申立てを検討することになります。
他方、遺言が有効と判断された場合には、遺留分侵害があれば、遺留分減殺請求をします。これも、協議によって返還されない場合には、調停の申立てを検討することになります。

ポイント

遺言の無効原因の有無は、形式面についても判断が困難な場合があります。例えば、自筆証書遺言であれば、どの程度の補助であれば「自書」と認められるか、公正証書遺言であれば、どの程度遺言者が話せば「口授」と認められるかといった問題です。この点については、事案毎に過去の裁判例を分析し、訴訟提起に踏み切るかどうか、不足している資料の有無・程度等の見通しを立てる必要があります。

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